私たちに届くまで
①はじまり(代表・オフィスドリニ篠原から)
②試作と試食(すでに他国で商品化されているグリーンバナナの粉を試してみる)
③製造相談(もともと縁があったオーガニック工場に、粉を作ってくれないかと相談)
④自分で粉を製造!?(好奇心と行動力)
⑤お試し商品化(パッケージされた姿の喜び)
⑥現地での工場視察(ヴァカボンドのテンギョウさんに依頼)
⑦報告 & 試食会(初めて一般の皆様へのお披露目を…)
⑧いよいよ輸入!(そして、これから…)
なぜグリーンのバナナを粉にして、わざわざ仕入れようと思ったのか?
“スリランカ産オーガニックグリーンバナナの粉プロジェクト”代表の篠原から、お話いただきました。
篠原「オーガニック紅茶をスリランカ・ウバ地方から輸入している関係で、私にとってスリランカはとても身近な国です。
スリランカでは、小さな露店のような店でさえ、軒から小振りのローカルバナナが吊るされています。栽培されているバナナの種類は非常に多く、バナナ大国と自称しているほどですが、輸出可能なバナナの栽培は殆どありません。ローカルバナナは生で消費されているのが普通です。
しかし、近年、国の経済状況が良くなるにつれ、国外から入ってくる手軽なスナック菓子などのジャンクフードに押され、スリランカの人々が常に食べていたバナナの消費は減りつつあります。完全食と呼ばれる栄養価が高く美味しいローカルバナナがフードロスの危機に晒され始めているのは、とても残念で悲しい事です。
私にはバナナに対し愛着のようなものがあります。幼いころ、遠く異国に住む叔父から、『バナナは生命の木なんだよ』と教えられましたが、その意味を理解したのは大人になり叔父の国を訪ねたときでした。それは、薄暗いバナナ林に囲まれた膨大なスラムを見たときに、あ~スラムで生きる人々の命はバナナが支えてる。彼らにとってのバナナは無償で手に入いる空腹を満たす食事であり、戦前に移民をしていった叔父にとってもやはり『バナナは生命の木』だったのだと。『バナナが有れば人間は死なない』と呟いた叔父の声が忘れられません。
心の片隅に常にあったバナナを危惧する気持ちは、友人の「アジアにグリーンバナナを食べている人達がいるよ!」の一言で一変しました。
世界ではグリーンバナナ(まだ黄色く熟す前のバナナをグリーンバナナと呼びます)を野菜として食べるだけでなく、乾燥させ粉にし、その粉で加工品を作り食べている人達がアジア、アフリカ、オーストラリアなどに居ることを知りました。生食で摂るよりグリーンバナナの粉の方が優れた栄養素のあることも分かり、早速、スリランカ産オーガニックグリーンバナナの粉を商品かするプロジェクトを谷中の小さな通りの異業種仲間達と立ち上げました。一見、途方もない、笑いごとのようにさえ思えるプロジェクトも、異業種仲間だからこそ生まれるアイデアと実作業により、スリランカオーガニック農園工場をあの手この手で口説き落とし、新しいグルテンフリー食品の一品として、商品化を成し遂げる事が出来ました。
このシンプルなオーガニックグリーンバナナの粉が人々の食の創造性を広げ、アレルギーのある子供達の微笑みをつくり、又、直接目に見えないフードロスの減少に僅かながら貢献し続けることが、スリランカオーガニック農園と私たちの小さな願いです。」
さて、グリーンバナナを粉にしての輸入を考えましたが、まずはもっとその粉について知らなくてはなりません。
オーストラリア、アメリカなどですでに商品化されているグリーンバナナの粉を購入し、実際に試作・試食を行いました。
味も小麦粉と異なり少しばかり個性的な味。
粉だけを舐めても、国ごとの粉それぞれで味も食感も異なることがわかります。
“え、そんな効果が!”
“そんな事まで!”
粉が持つ栄養や特徴も勉強し、ますます、グリーンバナナの虜になっていきました。
*グリーンバナナの粉についてもっと知りたい方はこちらへ
小麦粉との差を知るために、小麦粉の分量100%をグリーンバナナの粉に差し替えて焼くこともしましたが、案の定うまくいかず。
最初の頃は、血色が悪く、見た目悪く。
ガチガチだったり、詰まっていたり。
まだ小麦粉以外の粉に慣れていない私たちは、しばらく四苦八苦しながら試行錯誤が続きました。
試すうちに少しずつ慣れていき、ケークサレやホットケーキなどなど、美味しく使えるように。
もっと幅広く使って欲しい、使い方を見つけて欲しい!
と思い、もとから小麦粉以外の粉を使いなれている料理家の方、飲食の方にも試作を依頼。
種類豊富で見た目も可愛い美味しいものたちが沢山作られました。
*どなたでも自宅で気軽にグリーンバナナの粉を使えるように、クックパッドでも超簡単料理を公開中!
今まで”紅茶”や”ココナッツの花密”などで一緒に仕事をしてきた、スリランカのオーガニック工場に、「グリーンバナナの粉を作って欲しい!」と、お願いすることに。
ですが、現地の工場では今まで作ったことのないアイテムです。
言葉の違いや時差もあり、なかなか話はスムーズにいきません。
現地の工場からしたら、「そもそもグリーンバナナを粉にして、それが何になるの?美味しいの?」という状態。
「のんびりしていたら話が流れてしまう〜」と、危惧した篠原さん。
先日試作した焼き菓子をスリランカの工場に送り、「こういった美味しい焼き菓子になるんですよ!」「沢山あるグリーンバナナを活かしませんか?」と、アピール。
篠原さんのメールだけではない行動に熱意を感じてくれたのか、工場側もとうとう実際にグリーンバナナの粉を試製造し、サンプルを日本へ送ってくれたのです。
<写真>
スリランカの工場からサンプルが届いてから、さらに試作・試食を重ね、そこからまた工場とのやりとりも続きます。
工場側が本腰を入れて動き始めるまで、じっと待てない篠原さん。
「どうやって粉になるのか?」と、工場での大変さや流れをイメージできるようになるため、また、その行程を知りたくて………なんと、グリーンバナナを箱で大量購入し、どうやって粉になるのか、実際に自分たちでもやってみよう!と思い立ちました。
その購入したグリーンバナナの数、70本!
ドライフルーツメーカーまで購入し、実際に粉作りがスタートしました。
まずは、グリーンバナナの皮をむいて、カット。
ドライフルーツメーカーへ並べて、乾燥させます。
乾燥させてしまえば、ここからはあっという間。
ミキサーに入れて………粉砕っ!!
こうやって粉になるんですね〜。
手を真っ黒にしながら皮をむいてカットした70本。
粉にしても、たったの○kgにしかならない!という驚きもありました。
大量にバナナがなる国じゃないと作れないですね。
“日本のクライアントが、自分たちでも粉を作ってみる”なんてことをしているとはつゆ知らずのスリランカ工場。
次のサンプルには、パッケージシールも貼られた商品の状態で届きました!
これを手にし、いよいよちゃんとした発注依頼・輸入の準備をします。
もちろん輸入しただけで終わるのではなく、その後の販売ルート等々を確保しなければ、せっかく輸入しても皆様に楽しんで頂けません。
まだまだしばらく下準備が続きます。
「新しい商品を作るために、エネルギーを注いでくださったスリランカの工場を訪問したい。そして、その工場でどうやって作っているかの現場を知りたい!」ということで、篠原さんの友人でもあるヴァカボンドのテンギョウさんへスリランカの視察を依頼しました。
皮をむいて
カット
並べて、これから乾燥させる機械に入れるところですね。
女性の方々が働く場所として、大切にされている工場です。
一般の方へのオープンな説明&試食会、さらには、数ヶ月後に輸入が決まったグリーンバナナの粉の受注会も同時開催しました!
テンギョウさん帰国のタイミングでもあったため、プロジェクターで写真を投影しながら、見てきたばかりの工場の話も。
当時、このイベントを楽しんでくださった皆様、ありがとうございましました!!
2017年1月、とうとう念願の最初の輸入。
きちんと販売用に商品化されたグリーンバナナの粉が届いたのです!
写真は、フーデックス参加のため来日したスリランカ工場の社長さん。
それからは2017年春にHP完成、オンラインショップも開設し、青山パン祭りなどのイベントへも参加。
様々な料理研究家の方々に粉を使ってもらうことも続けており、秋には料理教室も開催しました。
販売店も少しずつ増加中!
じわじわと興味のある方が増えていることを実感する日々です。
少人数で活動しているためゆっくりの活動かもしれませんが、
これからも、どうぞ「グリーンバナナの粉」をよろしくお願いいたします!
2017.9 グリーンバナナの粉プロジェクト一同